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わらしべ長者の幸福 後編


 お嬢様は聡明な人だったから、学生が、気取られないようにしていた落胆も、すぐに見抜いてしまったんだよ。それで、ひょっとしてこのリボンはとても大切なものだったのじゃないかと気にしたわけだ。

「とても助かったけれど、本当にこのリボンをもらってもいいのかしら?」

「気にしないでください。リボンがなくったって、気持ちが減るわけではないのですから」

「その…申し訳ないわ。何か私にできないかしら」

「それでしたら、少しだけ僕の話に付き合ってもらってもいいですか」

 そんな風に会話した後、二人は公園のベンチに場所を移して話をしたらしい。

 貧乏学生は、自分の暮らしが日々過ごすのに精いっぱいなことや、自分の学業の事を面白おかしく話した。お嬢様もそれを楽しんで聞いていたそうだよ。そんな話をしばらくした後、学生は、自分が今恋心を抱いている女性について語りだした。

「その人は、僕のことをどうしようもない人、とよく言うのです」

「まぁ」

「でも、そういう時は決まって、とても優しい目をしている。僕の勘違いでなければ、愛情を含んだ視線なのです。そんな彼女に、僕は恋をしました」

 ふふ、こんな言葉からも、彼の人柄がよくわかるだろう?うん、すごくかわいらしい人なんだ。

「その方への、プレゼントなのですね」

「ええ。想いを伝えようと。つまらぬものですが、今の僕にはこの位の物しか…」

「すてきです。あなたのその気持ちが、素敵だと思いますわ」

 学生は恥ずかしくなった。けれど、なんだか自信がわいてきたとも言っていたよ。そりゃ、身なりの良い、お嬢様に太鼓判を押してもらったのだからね。勢いよく立ち上がって、お時間ありがとうございました。勇気が出ましたと言って、その場を去ろうとした。

「お待ちになって」

 それを止めたお嬢様は、自分のかぶっていた帽子についている造花を取って、貧乏学生に渡したんだ。

「これを。私からのお礼です」

「こんな素晴らしいもの…いただけません」

「いえ、これをあなたの想い人にあげてください。その時に、きっとどうしてこんなものを持っているのかと問われるでしょう」

 お嬢様が渡した造花は、とても立派なものだったから、貧乏学生が買えるような物ではないと、一目見ればわかったんだ。それがわかっていたから、あえてお嬢様はそれを学生にあげた。

「そうしたら、今日あったことをお話しして。きっと、あなたの想いを伝える役に立つでしょう」

 そう言うと、お嬢様はリボンの靴で去って行った。学生は、あんまりお嬢様の言っていたことの意味が分からなかったみたい。

 自分に関しては、鈍感な人だからね。

 こういうエピソードが、彼の魅力をアピールするいい材料っていうことに気が付かなかったのさ。お嬢様はそんな彼に気が付いていた。実際、お嬢様に造花をもらわなかったら、この話もしていなかっただろうって、学生自身も言っていたよ。

 このお嬢様の計らいのおかげもあってか、学生のプロポーズは大成功。もともと彼の人柄に惚れていた彼女は、この話を聞いて、また惚れ直したって話だったよ。ふふ、惚気の尽きないカップルだからね。耳にタコができるくらいこの話は聞かされてるんだ。

 でも、この話で私が一番ときめいてしまうのは、告白に成功した学生が、のちにしみじみと言った言葉なんだ。

「僕はなんて幸福なわらしべ長者なんだろう」

 ってね。
 どういうことかわかるかい?

***

 カランカラン。
 軽快な音を鳴らして、意中の人は去って行ってしまった。

「次回までの宿題だよ」

 と言い置いて行ってくれたというのが、唯一の救いか。しつこくしたにもかかわらず、また会う約束をしていってくれたのは、大きな収穫だろう。

「厄介な方を好きになったんですね」

 上品な香りがふわりとしたと思ったら、マスターが僕のコーヒーカップに二度目のおかわりを注いでくれていた。
「あ、の」

「おごりです」

「…ありがとうございます。うれしいな。とても、おいしいから」

「味がわかる方に出会えるのは、僕としてもうれしいですよ」

 ふふ、と不思議な笑みを浮かべて、マスターは言う。

「あの子は、難しい子ですよ」

「ええ、わかっています。でも、どうしてもひかれてしまうんですよね」

 ふう、とため息をついて、コーヒーを一口いただく。ふう。また、ため息。

「…僕から聞いたというのは、内緒ですよ」

「え?」

「あなたを見ていると、応援したくなってしまいます」

 いたずらっ子のような目をしたマスターは、小声で僕に言った。

「わらしべ長者というのは、交換したものがより良いものに、を繰り返して、お金持ちになった人の話ですよね」

「ええ」

「貧乏学生は、何を交換したでしょうか」

「それは…リボンと造花を」

「そうですね。その造花は、何と交換されたのでしょうね」

 それだけ言うと、マスターはカウンターへ引っ込んでしまった。

 僕は考える。

 造花は、彼女の手に渡ったはず。それと引き換えに学生が手に入れたのは…彼女の気持ち?

「まさか」

 あまりにも恥ずかしいセリフが頭に浮かんで、赤面してしまう。

「僕は、優しいだけじゃなくて、気障な男なんですよ」

 僕の様子をのぞいていたマスターが、にこっと笑って、僕に言う。

 僕は驚きで言葉を失くしてしまった。

「『僕はなんて幸福なわらしべ長者なんだろう。だって、僕は、リボンの代わりに豪華な造花をもらって、造花の代わりに、君からの愛をもらったんだから!』」

 いたずら成功!そんな顔で僕を見るマスターの耳は、少しだけ赤かった。


 あの人は、優しいだけじゃなくて、とっても気障な人が好みらしい…。

END



なんかもうごめんなさい!
言い訳すると、リボンっていう自分には全く縁のないテーマでかなり苦戦しました…。
没作品がこれの前に二つ実はありますw二ページくらい書いて撃沈した!(笑)

しかし、やけくそになって書いたら楽しかったです。もう完全に自分だけが楽しい小説ですはい。
わらしべ長者とか言いながら全然交換してないじゃないかという突っ込みはなしの方針でお願いします!

マスターは完全にはずかしいひとですね!

こんな話を書いている僕が一番恥ずかしい人ですね!!

お題くれた友人に感謝!!!感謝!!!


土下座!!!!
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テーマ : 短編小説
ジャンル : 小説・文学

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コメントをくれた友人へ

まさかの後編未読のコメントだったことに笑いましたww
いや、ほんと読んでもらってありがとね!
少年の今後は全く考えてなかった(笑)
うまくいくか、もう年上はこりごりと思うか…ご想像にお任せします☆

ありがとねー!!
プロフィール

紫矢 陽炎

Author:紫矢 陽炎
紫矢陽炎と申します。
こどもがたくさんいる職場に無事転職しましたー!
読書、ギターを弾くのが趣味です。

よろしくお願いします。

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