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関係 前編

リハビリ小説二つ目!お題は「仮面」でいただきましたー!って仮面!?と、あまりに自分との生活に無関係な言葉にこれ、かけるのかな、書けるよね?え、無理じゃない?と思っていましたが、テーマを決めてしまえば、とんとんと二日程で書くことができました。びっくり。
とはいっても、仮面そのものの話はまったく思いつかなかったので、こう、僕のお得意のダークサイドにお題を引きずり込んで、黒々としたわけわからん雰囲気小説に落ち着きました。ごめんなさい。
…お題をくれた友人、ありがとう!そしてごめんなさい!もう毎回謝るよ多分!(笑)




 仮面夫婦という言葉を初めて聞いたのは、確か俺が中学校に上がったころだったろうと思う。

 母と、兄と、俺と。三人でテレビを見ていた時に、仮面夫婦特集という、悪趣味な番組をやっていたのだ。
 母はそれを観て、心底嫌そうな顔をしていた。兄は、無表情だった。しかし、心中は穏やかでなかったのではないだろうか。

 …俺と、同じように。

 気まずさを感じた母がチャンネルを変えようとしたタイミングで、父が帰ってきた。

 母はリモコンを放り出して、父を迎えに行った。

 玄関から聞こえるうれしそうな声。それを聞きながら、俺と兄はぼんやりと仮面夫婦特集を見続けていた。

「俺たちは、仮面家族かな」

 ふと、気が付いたら言っていた。

 兄からの反応はなかった。俺も、それを期待していたわけではなかったから、さして気にしなかった。

 やがて父と母がリビングに入ってきたので、俺はさりげなくチャンネルを変えた。明るい笑い声の響くお笑い番組を一瞥した兄は、ふと立ち上がると、父のいる方へと体を向けた。

――父さん。

 俺や、母に話しかけるのとは微妙に違うトーンの声。その声を俺は予想していたけれど、兄は呼びかけずに歩き出した。

 兄の少し後方にいた俺とすれ違う瞬間、珍しく兄が俺を見た。

 俺も、吸い寄せられるように兄を見た。

「仮面兄弟だろ」

 俺にだけに聞こえる、小さな声。

 …返事はしなかった。

 しかし、ああなるほど、と思った。驚くほどすとんと胸に落ちた言葉。

 仮面兄弟。

 その言葉は、俺が大学生となった今でも、薄れることはなく、事ある毎に反芻する言葉となった。

***

 母と父が…俺の本当の父親が別れた理由を俺は知らない。それくらい俺が幼い時に母は離婚した。しばらく大人の男の人が、怖く思えた時期があったから、ひょっとしたら、暴力を振るわれていたのかもしれない。

 本当のところは、母が話したがらないから、わからないが。

 ともかく、母は幼い俺を一人で育ててくれた。しかしそれは、俺が小学六年生の時に終わりを告げる。

「会ってほしい人たちがいるの」

 やや緊張した面持ちで母が言ってきた瞬間、何となくどういうことかわかった。

 ただ、その時は相手も子供がいるなんてことは、夢にも思わなかった。

「大和って言うんだ。中学二年生だから、創也くんにとっては、お兄ちゃんになるね」

 新しい父は、そう言って兄を紹介した。俺が、大人の男の人が怖いと母から言われていたのだろう。少し距離を取って話すその人に、俺は好感を持った。

「創也くんは本が好きなんだよね?大和もよく読むんだ」

 なぁ大和、と父が声を掛けた相手は、柔らかく微笑んだ。

 けれどそれは俺に向けられたものではなかった。兄は、父しか見ていなかった。

 まるで鏡を見ているかのような錯覚。

 俺が母を見るように、兄は父を見ていた。

 なるほど、俺と兄はよく似ていた。

容姿もどこか似通ったところがあったし、あまり明るくない性格も似ていた。インドア派で読書が趣味という所も全く一緒だ。

しかしそれで仲が良くなるかと言われれば、そうではなかった。

 同族嫌悪。

 兄と話しているといつもその言葉が頭をよぎった。

 俺たちは、家族としてはとてもうまくやっていたと思う。父と、母と、兄と、俺と。四人でいるときは、間違いなく家族だった。俺は自然体で楽しいと思っていたし、血のつながりがなくても、俺たちは家族だと胸を張って言えた。

 しかし、兄と二人の時はそうではなかった。

 お互い俺たちは無関心だった。好きか嫌いかで言えば、嫌いだった。二人でいるときは滅多に口を利かなかったし、同じ学校に通っていても、学校では一切関わりを持たず、兄弟ということを知られないようにしていた。母と父の前でだけ、俺たちは兄弟だった。

 お互い、それでいいと思っている節があった。四人でいるときは家族。二人の時は無関心。その距離が、ちょうどいいと、少なくとも俺はそう感じていた。

 そんな風にしていたから、兄は俺にとってとても遠い存在だった。

 しかし、そんな兄を近く感じたことがあった出来事がある。
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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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紫矢 陽炎

Author:紫矢 陽炎
紫矢陽炎と申します。
こどもがたくさんいる職場に無事転職しましたー!
読書、ギターを弾くのが趣味です。

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